ノンフィクション

リアルな現実の狭間で生まれる様々な感情

個性派揃いの仲間たち

朱に交われば赤くなる、というようにウチの学校には朱が豊富にあった。


・カズヤ

おだてに弱いナルシスト。小5の時、シングルマザーの母が突如妊娠。父親不明の弟と母親で暮らしていた。

母親もぶっ飛んでいるのか、パンチ頭のおっさんがブリーフ一丁で母の部屋から出てくると荒技を目の当たりして

グレるなという方が無理だと悟る。


・ユウスケ

強くない山のフドウ。母子家庭で育ち、母ちゃんの愛人とおもしき同級生の父親に灰皿で頭をかち割られる。

夏休みに母と妹を家から追い出し、餓死しそうなところ、オレらの配給で生き延びる。

初めて出来た彼女が元チャンプに出てて笑い者にされる。


・ユウキ

引っ越し早々、ゲームショップでやりあったヤツ。家庭に問題はないものの、不良ルートへ。

停学の課題を夜通し手伝ってあげたが、二度目の停学ですぐさま退学を決意。

小学校からのヤンチャ坊主


・キミノリ

飯塚にボルトをねじ込んだ首謀者の一人。本人曰く悪ふざけの一種だと語るが普通はそんな気持ち悪いことはしない。

キミの性癖だと思います。実家の家業を継ぐ次男坊。



まだまだ紹介したい人物はたくさんいるが、実在する人物なので、身バレしても許してくれそうな人だけ紹介します。


こんな彼らに囲まれ、青春を謳歌していたオレ。サッカー選手を目指していた少年はくわえタバコでマリオカートに興じる日々を過ごしていた。


自由という日々の中で迫り来る卒業への不安。そして根拠のない希望。これは今の自分が忘れている感情かもしれない。

いい歳して、根拠のない無鉄砲の希望を持つのもどうかと思うが、希望が持てないよりはマシなのかもしれない。


結局のところ、あの頃の自分は誰かに反発するのではなく、誰かに認めて欲しかったのかもしれない。

それは自分だけではなく、同じように過ごしていた仲間たちもトドのつまり同じだったのかもしれない。


しかし、答えは分からない。大人になって振り返ってもそれは後付けのような気もする。

大人になってからの自分の行いは動機付けが出来る気がするが、大人と子供の狭間の中学生だったころの自分は損得ではなく

イエスかノーか、基準も曖昧なまま物事を図っていたような気もする。


進学をダシに脅すような言動はノー。頭ごなしに否定するのノー。おかげで、自分はそういう大人になっていないと思うが、

教師とはまた立場も責任も違うのかもしれない。


あの頃だって恨んだりなんかしてなかった。でも大人や親や教師の考えが理解できなかった、納得できなかった。

だから反発したし、反抗もした。対等に言い合うことも出来なかった。


教師と生徒、親と子供が対等ではないことは百も承知だが、お互いが理解し合うため、納得するために話し合うときは

対等であるべきではないか?


子供であれば暴力でねじ伏せても良いのか?脅しても良いのか?その気持ちは今も変わらない。

それに気付けただけでもあの時の自分は間違っていなかったようなきもする。


当時見た尾崎豊のライブビデオで彼はこう言っていた。


『大人って、親って分からないものには蓋をして物事を分かった気でいる。それを僕たち若い世代が変えていかなきゃ、僕たち同じような大人になるんじゃないかなって』


服装の乱れは心の乱れなんていう。それは間違っていないと思う。問題は何故服装が乱れるかだ。

思春期にパンチ頭のおっさんが母ちゃんの部屋から出てきてもグレないかもしれない。


同級生の父親に灰皿で頭をかち割れて母親が止めに入っても、グレないかもしれない。

でもそんなときサインが出てたら教師は何が出来るんだろう。何も出来ないかもしれない。

もしくはその場で注意して、更生させたつもりになるのかもしれない。


その答えは自分でも分からない。でもある日のことを今でも憶えている。



父が引っ越してきてしばらくした三者面談。パチンコで生計を立ててると聞いた荒井が父に向かって一言。


『働く親の背中を見せてあげてください』


パチプロでも構わないし、実際金には困ってなかったんだけど妙に覚えてる。

それから暫くして隣町に店舗兼アパート立てて居酒屋開いてたからね。


ムカつけど、他の先生とは毛色が違う教師だったと思う…

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