ノンフィクション

リアルな現実の狭間で生まれる様々な感情

夏休みを満喫する。

夏休みはおよそ40日。この期間、俺が一人で過ごしたのは2日だった。

ほぼ毎日のように誰かが家に来てニンテンドー64をやっていた。


誰かが来てというと、嘘になるので正しくは誰かを呼んで、いや、来させていた。


学年の男子の半分はウチに泊まったことがある。地元の祭りの夜は、確かに20人近くいた気がする。


三段の押入れに二人ずつ、床ベット、ソファと10畳位の部屋にギュウギュウだったのを覚えているgq

普段はそこまで多くない。大体4-6人くらい。少ない時は2人か3人だった。

4人くらいいないとゲームが捗らない。当時007という対戦型ゲームにどハマりしバカみたいにやってた。


『負けたら買い出しな』


大体ユウスケがいくのだが、ハンデとかを付けて熱くさせてから結局買い出しに行かせてた。

でもそこは半分オトナの15歳。釣り要らないよ、といってちゃんと買い出しに行く人間の懐をケアしていた。


漁師の息子たちは素潜りすれば1日1万くらいは稼ぐのでその辺は余裕があった。

俺はというと、父親の財布からチョクチョクくすねて交遊費に充てていた。


あの頃は毎日毎日バカして笑っていた。そんなある日父親からこんなことを言われた。


『おい、お前オレに隠してることないか』


『何が?ないよ?』


『いいから正直に言え!!』


タバコが学校にバレて父親が呼び出される前に自分から打ち明けたときは


『あ、そう。体に悪いから吸わない方が良いよ』


だけだった父親のマジトーンに少し驚いたが、他人に迷惑をかけるようなことはしていない。

財布から金を抜いてることも知っているはずだ。


『だから、何にもねぇって!なによ?』


『お前クスリやってねぇだろうな!』


『はあ?クスリ?俺が?何でだよ笑』



どうやら毎晩夜通し集まってはバカ騒ぎしているのでクスリをやっていると思われたらしい。

そうか、俺らの1日はシャブ級に楽しいのか、シャブも大したことねぇな。と思った記憶がある。


誤解も解け、さっそくその夜、近所でシャブやっていると噂されていることを話した。


『それ、アレだろ。同級生の女の子親戚の家が言ったんだろ。ほらそこ。』


そういえば最近3つ隣に引っ越してきた家があるが、同級生の親戚と初めて知った。

3つ隣と言っても空き地を隔ているだけなのでさぞかし迷惑だったろう。


でもお前の家の車がいつも路駐しているのも迷惑だけどな、と思いつつ、仲間が帰り際に

『シャブやってませーん!!』


『シャブるぞオラー!!』


と通り過ぎる声が聞こえて少しイラついた。


原因はコイツらだと。俺は他所様に迷惑をかけることはあまりしない。


たまに部屋の掃除をすると、ゴミステーションに張り切らないことがあったし、そもそもゴミの日を知らないから

しばらくゴミ袋が放置されていることはあったが、許容範囲ということにしておこう。


ちなみにいつも皆が引き上げるのは朝方4時頃。明るくなる前に帰り、夕飯以降集まるというのが日課だった。

俺は大体昼過ぎに起きて溜まり場2号の家に行くか、カラオケかなんかしてたと思う。


たまに海に行って潜って採ってきた貝類を焼いて食ってたりもした。

今は随分厳しいみたいだから良い時代だったのかもしれない。


そんなこんなで夏の終わりを迎え2学期が訪れようとしていた。一人を除いては…

×

非ログインユーザーとして返信する