ノンフィクション

リアルな現実の狭間で生まれる様々な感情

自由ときどき孤独

夏の暑さも大分和らぎ、二学期を迎えた。
この頃になると、学校に一時間目から行くことはほとんどなかった。


昼夜逆転の生活をしていたせいもあるし、この時は高校への進学は考えていなかったのが大きな理由であろう。


(学校って何を学べば良いんだろ?俺は先生から勉強以外教わることは何もないな)
と、この頃は本気で思っていた。
そして、その授業の内容は会社に勤めてからほとんど使わない知識なんだとも思ったいた。


これは正解でもあるし、不正解でもあると大人になった今はそう思えるようになった。
大人になればほとんどの人が生きていくタメに働く。そしてお金を得る。
そこには嫌なことも辛いこともあるであろう。


時に我慢をし、努力をし、結果を出すことが生きていく中で少なからず必要なのだから。
義務教育の過程において学校生活とは云わば社会に出ていくタメの準備であり、学生にとっての努めなのだ、とは当時は思わなかった。


嫌なことがあれば抜け出す、逃げ出すということも時に必要だとは思うが、そこに自分自身の甘えしかないようであれば、結果として自分の糧にはならないとも思う。


しかしながら人生において何が無駄で、何が必要かは簡単に図れるモノではないから面白い。俺は今でもあの時の自分の行動が正しいか、それとも間違っていたのかはわからない。


話を戻して、当時の我が校は細かな校則が多く、それがまた癪に障った。
靴下、靴を基調としていないといけない。
前髪は目に掛からない。整髪料を付けてはいけない。


そんな一つ一つを破りたかった。誰かが決めたもっともらしいルールも実をなしてなければ意味がない。そんな風に思っている。


学年でも1,2の成績を誇る、女生徒にもウチの担任はネチネチ言っていた。
その子は髪を染める子ではなく、地毛が明るい色だっただけなので、落ち込む彼女を見ると勝手に怒りが湧いてきた。


だからといったワケではないが、ある日、髪の毛をキンパツにして学校に行ったことがある。キンパツにした、というよりは自分で毛染めをしてそのまま眠りこけたら綺麗なブロンドヘヤーになっていただけど・・・


『おい、見ろよアイツ、マジで金髪で学校来やがったぞ!』


ある種パンダのような扱いだったけど、目立ちたいという欲と教師への反抗心があったのだと思う。


どうして当時そこまで反抗していたかというとワケがある。


授業中なんとなくお喋りをしている教室の雰囲気を正そうと、オレだけがやり玉に挙げられ叱られる。
コイツを抑えれば、他の生徒も言うことを聞く、そんな教師の態度が非常に気に食わなかった。俺が一番騒いでいるならともかく、教師のマウンティングのために怒られるのは面白くなかった。


『お前を注意した分だけみんなの授業が遅れた!どうするんだ!やる気がないなら帰れ!!』


ドヤ顔で授業を再開する教師を前にカバンを持ってそのまま教室を出ていった。
自宅に帰って数時間後、担任の荒井が迎えにきた。


『ケンジいるかー、学校行くぞー。』


何がびっくりって勝手に家に入ってきたことだ。そして時計を見て
『もう少しで給食だな。一服するか、おいタバコくれ。』


おおよそ教師が言うセリフじゃねぇ、だろと思いつつ。ベッドの上に置いてあった半年前くらいまえのタバコを玄関にいる荒井に渡した。


『・・・うん?何か変な味しないか?』


こういう感の鋭いところは俺も一目置いていた。


荒井は、先ほどの事情をその先生から聞いて呼び戻しに来たのだろうが、
そのことには触れずに連れ戻すのだから、メンツを持つワケじゃないが学校に戻った。


そんなマウンティグ教師はいつしか俺のことを『ケンちゃん』と呼ぶようになっていた。
懐柔しようとしたのかは知らないが、心底気持ち悪く、ますます大人の汚さが目に付くようになった。自分が間違ってないと思うなら、とことんぶつかってこいよ、なんで方向転換するのかが分からない。


簡単にいうと、いつしか俺は教師の中から腫れ物みたいな扱いを受けていた。
ああ、そうですか、それなら好きにさせてもらいますよ。


大人になって振り返れば、当時の俺は真正のかまってちゃんだったのかもしれない。

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